22
2016 19:56:14
脳室周囲白質軟化症 PVLとは?
近年の脳性麻痺に至る疾患として、
脳室周囲白質軟化症 PVL
と呼ばれる疾患が増えてきました。
名前だけでは何のことか分かりませんよね。
それぞれの言葉の意味となぜ障害が起こってしまうのか。といったことについて触れていきます。

知っている方も多いと思いますが、例えば右側の脳が損傷されると左側に麻痺が出ます。
画像を見ても『延髄 えんずい』と言うところで交差してますよね。
なので、PVLや脳卒中になると、反対側に麻痺が出てしまうんです。
もし、リハビリに通っていらっしゃってこのブログを見て下さっているお母さん方いましたら、次のリハの時に
『錐体路…』
とかって単語を出すと、リハの人たちはびっくりすると思いますよ! ぜひ!!笑

脳室って?
まずは画像で見てみましょう。このように、脳の中には空洞があるのです!!しかも結構広い! この中を脳脊髄液という液体が脊髄まで流れます。 神経を覆う液体です。 ちなみに、この液体があるから外から加わった力に対してクッションの約割にもなります。引用 https://www.kango-roo.com/sn/k/view/2158
白質って?
簡単に言うと神経の通り道です。 他にも 灰白質かいはくしつ と呼ばれる白質もあります。 そちらは命令を出す出発またはゴール地点になります。 あくまで白質は通り道です。 この脳室の周りにある白質が損傷されてしまうことで起きてしまう。と言うのが、脳室周囲白質軟化症になります。なぜ麻痺がおこるの??
そして疑問はなぜ麻痺がおこってしまうのか。 これには脳室周りの白質がなんの通り道か知ると分かってきます。錐体路 すいたいろ
リハビリの人の基礎中の基礎です。 運動神経の基になっている大きな神経の束のことです。 ちなみに図にするとこんな感じ。
錐体路を上から見ると
脳室に近い方は、足の方の神経が通っているんです。 そのため、PVLの麻痺は下肢を中心とした下半身に出やすくなっているという事に繋がってきます。引用 http://kenji7.main.jp/2015/12/15/vol-189 リハビリテーション分野における脳画像のみ/
スポンサーリンク
合併しやすい視覚障害
PVLの特徴として、視覚機能への影響が挙げられます。 これも構造的に知っておくと、なるほど!となります。 先ほどの錐体路の更に後ろのほうには視覚の神経線維が通っています。 『視放線 しほうせん』と呼ばれる神経です。 これが目からの情報を脳まで届けてくれる所になります。 ここが、白質軟化の程度が大きいと損傷を受けてしまいます。
どうして、PVLになりやすいのか
1 構造的な特徴
この白質周囲は、脳室側(内側)と脳表面(外側)からの血流の流れる境界線となっていて、境界線なので、血液の供給もグレーゾーンになります。 そのため、虚血(血が届かない)と言う事に繋がり易くなるとされています。2 血流自動調節機能の未熟性
脳血流を一定に保つための調節機能が未熟ですので、低血圧があると虚血しやすくなります。3 大脳白質の脆弱性 ぜいじゃくせい
急激に神経が発達する分、代謝も活発です。少しでも虚血で栄養が届かなくなるとグルタミン酸の放出等が生じ、その影響で簡単に神経は症害を受けるとされています。 未熟児ではさらに神経部分は脆弱ですのでPVLの発生率はどうしても高くなってしまいます。 なお、PVLの予防は、障害なき生存【intact survival】を考える上でも重要と、様々な医師が話をしています。 リハビリも一役買う立場になればなぁぁぁと思っています。スポンサーリンク